Web master’s voice in Japanese (16) 2018/5/19

仮想通貨

 

580億円にも相当する巨額の仮想通貨(NEM)が流失し、追跡も不調に終わってしまうらしく、また、仮想通貨取引所の混乱が相次いでいるなど、仮想通貨が世間を騒がせています。

仮想通貨は、流失への備えなど管理面に不安があり、取引所の運営に不備が目立ち、相場が激しく乱降下するなどの不安要素を多く抱えながらも、従来にはなかった機能と便宜により、利用者は増え続けています。

国境を越えた送金を始めとして決済が安いコストで手軽に早く処理でき、また、将来の値上がりを見込んだ投機性もあることから急激に利用が広がっているようです。

更に、仮想通貨の代表であるビットコインにはブロックチェーンと云う技術が使用されており、このシステムにより中央管理機構による高品質・大規模な通貨の管理が不要となり、分散自律的な運用が可能となる特徴があるそうです。

取引データを全て公開し、ユーザーが相互にデータを検証し、絶えず確認し合うことで、中央管理機構の役割を補うことができます。

このシステムは通貨以外の分野でも利用が検討されている優れモノのようです。

安く、早く、使い勝手がよく、しかも値上がり益も期待できるとなると、仮想通貨の利用はますます増えそうです。しかし、そうなると国家の発行する法定通貨との棲み分けは可能なのでしょうか。

 

貨幣は経済発展には不可欠なものでした。貝殻や石に始まり、更に金貨、銀貨などと変遷し、やがて紙幣へと発展しました。紙幣は政府が信用を失えば、ただの紙切れです。近代国家の信用が紙幣を流通させ、経済発展を支えています。

 

一方,仮想通貨は国家の発行する法定通貨ではありません。国境を越えて、誰からの制御もなく流通します。国家単位の金融政策は機能しなくなる恐れが生じます。EUが各国の通貨を廃止し、統一通貨ユーロを導入してからの混乱は、やがてEUの解体へとつながる様相を呈しています。

仮に、仮想通貨の流通が膨張を続ければ、金融政策が機能不全に陥る危険や、通貨の信用不安も発生しかねません。

 

仮想通貨の位置づけをどうするのか、

仮想通貨の規制はどうあるべきか、

法定通貨との棲み分けはどうするのか、

と云った議論を始める時が来ているようです。