web master’s voice in Japanese(28) 2019/4/27
消費増税反対
今、アメリカ発のMMTという理論が注目を集めています。Modern Monetary Theoryの頭文字で、現代貨幣論、或いは現代金融論と訳されています。現代の貨幣は、借りるという行為によって創造される、という理論です。
経済は交換なくして成り立たず、古来、物々交換の不便を緩和するため貨幣はなくてはならない存在でした。美しい貝殻などが使われたようですが、次第に金貨や銀貨が流通し出します。やがて、本来は価値のない紙幣で代替する知恵が生まれ、更には1971年にはニクソン大統領が米ドル紙幣の金との交換停止を宣言します。この時点から各国の発行する紙幣は、金貨の代替を離れ、政府への信頼だけが頼りの、政府の借用書となりました。
貨幣はすっかり変質したにもかかわらず、従来の経済学では、貨幣は貴重な金貨などの代替物と見なし、銀行は貨幣を集めてそれを貸し出している、と考えられてきました。
しかしMMTでは、銀行の集めた貨幣が貸し出されるのではなく、その反対に、銀行が貸し出しを行うことによって始めて貨幣が創造されると考えます。
つまり、銀行は預金を元手に貸し出しを行うのではなく、その反対に、銀行による貸し出しが、経済活動を喚起し、その結果、預金を生む、と指摘します。
この原理を政府に当てはめると、財政赤字(政府の貸し出し)は、それと同額の民間貯蓄(預金)を生む、ことになります。また、MMTは「自国通貨を発行できる政府が財政破綻を懸念する必要はない」と主張しています。
2013年に始まったアベノミクスの3本の矢は、金融緩和、財政出動、成長戦略でした。異次元の金融緩和は実施され、円安→企業収益改善→雇用改善などの一定の成果を上げてきました。しかし、2014年に消費増税を行い、財政も出動から緊縮に後退してから事態は一変し、いくら低金利政策をとっても銀行貸し出しは増加しないまま、経済は成長せず、インフレ率2%の目標は遠くなるばかりです。実質賃金も増えないので景気回復を実感できない庶民が殆どです。こうした現況は、このMMT理論を当てはめてみるとよく説明がつきます。
財務省は相変わらず、財政赤字が続くと破綻の怖れがあると危機感を煽り、財政再建の為と称する消費増税を目指していますが、需要が停滞しているこの時期に増税を行えば、“失われた20年”が更に10年、20年と続くことになります。
種子法廃止、水道法改正、入管法改正と、内政では、グローバリズムに押されっぱなしで、大失政の続く安倍内閣ですが、ここは消費増税を凍結し、大胆な財政出動を行って日本に活気を取り戻してほしいと願っています。